トシオさん問題

 井上和香さんがプロミスのCMで、微妙な昭和テイストと茶色い髪のアンバランス感を演出しながら恋人だか旦那だかと父親にお弁当を作るのだが渡すときに恋人だか用と父親用を間違えて「ご利用は計画的に」というCMがありますよね。
 こんなわかりにくい説明よりはこっちを見てください。
 プロミスCF紹介
 わたしが難癖つけたいのは、弁当に「トシオさん」と書くことの是非についてなのです。わたしは恋人に弁当を作ったことはありませんが、もし作るとしても相手の名前を書くことはしないと思います。母以外の異性から手作りの弁当をいただいたこともありませんが*1、その場合にしても何か書くとしたら「LOVE」だの「スキ」だの、そういうのではないのでしょうか。
 ではなぜあの弁当に「トシオさん」と書く必要性があるかといえば、それはCM用の便宜なのです。もしも「LOVE」や「スキ」と書かれた弁当が父親に届いても、それは(多少違和感があっても)話が通じてしまうからなのです。「間違えた」というシーンが生きてこないからなのです。
 「ご利用は計画的に」という部分から膨らませて、井上さんが何かミスをして「間違えた」という流れのCMを作ったということなのでしょう。では「何を、どう間違えたのか」という部分がCMの面白さを決めるわけです。弁当に「トシオさん」と書くことの違和感を考えれば、このCMで取り扱った題材、つまり恋人と父親で渡す弁当を間違えるという内容は最適なものではなかった、ということになるのではないでしょうか。
 ただし、ぼくの意見は「弁当に名前を書くやつなんていない」というのが原点にあるので、「いや、弁当に名前ふつうに書きますよ」という方がいらっしゃるならば主張は脆くも崩れます。そのときは「ママ以外に弁当のひとつも作ってもらえない可哀相な人のヒステリー妄想乙」とでも罵ってもいいと思いますが、罵られたくはないです。
 ちょっと前には井上さんがカレーを作って、炊飯ジャーの電源を入れ忘れていて「ご利用は計画的に」というバージョンのCMもありました。最後のほうにお玉杓子をくるりと一回転させてポーズを決めるシーンがあったのだけれど、お玉杓子に一切カレールーがついてなかったのをよく覚えています。お玉杓子を綺麗に舐めたか拭いたか調理に使った器具とは別のお玉杓子なのか知ったことではありませんが、ポーズを決めるためだけにお玉杓子を綺麗にするなり新しいのを出してくるなりするなんて、友人にカレーを振舞うのって大変なんだなぁとは思いませんでした。
 プロミス批判でも井上和香さん批判でもありません。ご理解いただければと思います。

*1:調理員が女性の弁当屋さんで弁当を購入したことは、もしかしたらあるかもしれません。