世界にひとつとして存在しない花

No1になったって意味なんかない
もともと存在すらしないのだから


花屋の店先に並んだ いろんな花を見ていた
人それぞれ好みはあるけど どれも大差ないとも言える
この中でだれが一番だなんて 争ったところでみじめで
しょせんバケツの中なのに 胸なんか張ってみちゃってら


それなのにぼくら人間は どうしてこうも比べたがる?
一人ひとり違うなんて建前だけど 一番ってすごいか?


そうさ ほしいのは
世界にひとつとして存在しない花
種も実もなく色も香りもなく
その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい


困ったように笑いながら ずっと迷ってる人がいる
どれを選んでも何も変わりはしないのに やれやれまったく仕方ないね
やっと店から出てきた その人が抱えていた
凡百のありふれた花束と さらにありふれた横顔


名前もなく姿もないけれど
あの日ぼくの心に宿り狂わせた
他のだれにも伝わらないし伝えない
そう あの花のように


そうさ ほしいのは
世界にひとつとして存在しない花
種も実もなく色も香りもなく
その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい


小さい花や大きな花
どれをとってもくだらないものだから
No1になったって意味なんかない
もともと存在すらしないのだから