やつとぼく

 このごろ、やつが部屋にちょくちょく出るんですよ。もう数える気にもならないけど。
 あの、耳元でウザい、血を吸う、華奢なフォルムのあいつですよ。文文とぶ虫だからあの字のやつですよ。
 基本はガン無視を決め込むんですけど、やつ(♀しか吸わないんだっけ?)らは吸血攻撃カマしてくるじゃないですか。
 それだけならまだしも、かゆいじゃないですか。
 無条件に血液を提供しているというのに、なぜこのような仕打ちを受けねばならぬのか。
 実のところ、ぼくは痒くても絶対に掻かないけどね。そうすっとものすごく早く治まる。
 人間様がやつに振り回されてどうする。これは人間の尊厳を賭けた対決なのだ。
 実のところ、そこまで大したもんじゃないけどね。みなさんも是非かゆみに耐えてみてください。楽しいよ(そうか?)。