ノーモアヒーローズのシナリオの私的な解釈

ちょうこじつけ。いちおーネタバレありということで。ご注意。
けっきょく、夢見がちなトラヴィスくんがオトナになる話なんだと思ったよ。いろんな現実を受け入れるまでの過程なのかなと。
このゲームを進めていてよく感じたのは、寝て見る夢みたいな、つじつまや登場人物のフワフワした感じ。目覚めてから、夢の中に「何でこいつが出てきたんだ?」とか「何であんな展開になったんだ?」みたいなことを思うという経験は、多くの方が持っていると思うけど、あんなイメージ。
だからこれは、いろんな要素をあくまで抽象的にというか象徴的にというか、大きな枠組みでとらえて解釈すべきなのかなぁと思ったという。おれが。
まずシルヴィアは欲望の象徴。セクシー美女がヴァイオレンスな儲け話を背負ってやってくるんだから、これはわかりやすい。
10位のデスメタルはまんま富の象徴でしょ。殺し屋として働くことで財をなした人。トラヴィスも10位戦時点ではこういうものを望んでいるわけだし。
(実際には勝ち進んでも部屋にオタグッズが増えるだけなのも理想と現実のギャップだね)
9位のDrピースは、「家庭を顧みないほど仕事熱心な人」のイメージ。トラヴィスくんはオタクなのでこいう生き方はしてきてないハズなんだけど、戦闘後にはそれを理解し、受け入れるようになっている感じがする。
8位のシノブは、「有能な後輩or有能な年下の同業者」てなとこか。仕事への動機付けもトラヴィスくんより強い(ジーンまでいくと、そう変わらない感じになるというのはあるけれど)。これはねじ伏せるのではなくて、理解し、育ててやる余裕があったりするのがよい。
7位のデストロイマンは「裏表のある男」とか「嫌な奴」とかそういうの。うまい表現が出てこない。「ゲス野郎」とか。これは殺し屋という仕事がどうのこうのではなくて、単純にこいつは嫌な奴だ、という感じか。
6位のホリーは「ひと夏の恋」ちゅうか「背伸びした恋愛」ちゅうか、そういうのだ。まぁこのへんから無理バリバリだ。苦難のほうが多いけれど若さの勢いで突っ走る感じの、最終的には報われない、せつない恋愛みたいののイメージ。やっぱり初めから住む世界が違ったのね、ていう。
5位のシェイクは「時間(期限)との戦い」みたいなことかなぁ。よくわからんけど。
4位の名前の長い人は「仕事上のイベントごと」というか「仕事に付随してきた何がしかのおまけ要素」みたいな。文化祭ノリというか。いろいろ考えさせられるような出来事のなかで、いろんなことは忘れてノリで楽しんでみるというのも大事だよ的な。
3位のばあちゃんは、ここにきて「今までとかなり異なるルール」というか「これまでに築いた自分の考え方が通じない相手」みたいな。「ずるい相手」とか。
2位のバッドガールは単純明快、「キチガイ」。仕事のし過ぎでおかしくなったのか、おかしいからこんな仕事やってるのか、みたいな。己のお仕事の暗黒面みたいの。
1位のおじさまは、まぁ、父殺しといえば心理学のアレでどうのこうの。本当の父ではなくとも、投影としてどうのこうの。てきとう。
ジーンは過去の象徴。トラウマとか、そういうの。これをもトラヴィス君はのりこえてゆくわけで。
ヘンリーは「そうあるべき自分」みたいの。まじめに、まっとうに生きてたらこんな感じになってたはず、という。理想というかなんというか。双子ってのはもう一人の自分として解釈したくなるよねっていう。
んで、それぞれを全部ねじ伏せてでも、なお殺し屋であり続ける姿勢というのがノーモアヒーローズにおけるトラヴィスのアレであって、「殺し屋」というアレに夢見がちだったり、理想を大きく描きすぎていたりするのが少しずつそぎ落とされていって、同時に「殺し屋」というアレにつきまとうマイナスのアレもまた切り捨てていって、トラヴィスくんが一人前の殺し屋になるまでの話だということでいいんじゃないかなぁとか。そして一人前になったからといってそこにゴールがあるわけではなくて、あたりまえで単調な殺し屋としての日常があるだけなんですよだぜ?みたいな。そういうのを悟るためのEDなのかなぁとか。
「若人が社会に出て一人前になるまでシミュレータ」としてエンジョイすべきなのかなぁとか。
一人前になる、というのは「すべてを理解する」ということではないんだよなというか。んー、語彙に乏しくて、表現力に乏しくて、言いたいことの何割かが死んでいるのが痛いほどよくわかる。ちくしょう。ねむい。