明日から仕事だよ日記

こ、ここはどこだ!?
気がつくとぼくはよくわからない空間にふわふわと漂っていた。周囲を見渡せば、同じような人間がいくらかいる。かなり遠い距離だが、だいたい等間隔に、やはりふわふわとしていた。しかし、話しかけに行こうにも思うように体が動かせない。そのうえ、大声を出しても届くか不安な距離で、ぼくは目立つのも嫌だったのでひとりであれこれ悩んでいた。
しばらくふわふわして、体が思い通りに動かないことやふわふわしすぎた気持ち悪さを感じていると、ふいに頭の中で声がした。
ようこそ
どこから声が、とか、誰が、とか考えるよりも前に、ようこそもへったくれもねーよ、自発的にここに来たわけじゃねーよと思っていると、声は続いた。
みなさんの思いが、みなさんをここへ導いたのです。
意味がよくわからなかったが、ふーんと思った。ここにふわふわしている人間すべてに、共通する思いねぇ。
と、そこまで考えてぼくははっとした。はっとしてぐっときた。
明日から仕事かよ、行きたくねぇなぁ。
ぼくはそう思っていた!きっと彼らもそうなのだろう。みんなの思いがひとつの大きなエネルギーとなり、この、何だかよくわからない空間に自分たちを引きずり込んでしまったのだ!
ということは、このままうだうだしていたら明日から会社に行かなくてもいいぞ!
と思わないでもないわけではあるが、そうもいかない。そう。そうもいかないのだ。
そうもいかないとみんなが思ったにちがいない。新たなエネルギーの波がふたたびぼくらを襲い、気がつけばぼくは自分の部屋に戻っていた。ふたたび頭の中で声がした。
ようこそ そして さらばだ
ぼくは明日の準備をしなきゃいけないなぁとか、明日は早く起きられるように早く寝なきゃなぁとか思いながら、ゲーム機の電源を入れたのであった。
よくわからんけど、もうだめだ。